リユース食器について
About Reusable Eco-foodware

リユース食器とは?

リユース食器の一例。上段左からマグカップ、カレー皿、平皿/下段左から丼、箸、リユース食器ネットワークの共通リユースカップ(左:280ml/右:450ml)。

お祭りやコンサート、スポーツ観戦といったイベント会場では、使い捨て容器の利用が主流となっています。ごみを減らして環境に配慮したイベントにするためには、まず①発生抑制(リデュース)、②再使用(リユース)、③再生利用(リサイクル)の優先順位で対策を推進することが求められています。

 

リデュース、リユースの取り組みの一つであるリユース食器は、使い捨て容器に替えて導入する繰り返し洗って再使用(リユース)する食器を総称しているものです。陶磁器製、ガラス製の食器やカップに替えて使用するものではありません。

 

リユース食器は屋外で使用することが多いため、落としても鋭角的に割れない素材として、プラスチックの中でも柔軟性に富むポリプロピレン(PP)製のものが多く出回っています。ポリプロピレン(PP)製の容器は耐熱温度が120℃、耐冷温度は-30℃で、50回程度再使用する耐久性があります。

 

リユース食器として使用されているものの中には、自治体から払い下げられた給食食器等を再使用している食器や、バイオプラスチック製の食器もあります。食器の種類としては、大小さまざまなサイズのどんぶり、お皿、カレー皿、お椀、小鉢の他、280~720mlサイズのカップ、お箸、フォーク、スプーンなどのカトラリー類があります。

 

リユース・システム

 

回収率を高めるために

リユース食器は繰り返し再使用する食器です。回収率を高めるための方法として、販売時に食器代としてデポジット(預かり金)を支払い、食器を返却すると返金するデポジットの仕組みや、回収に協力した人にはノベルティを配布するなど、さまざまな方法があります。

 

また、回収する場所についても、リユース食器の回収所を設ける場合、売店で回収する場合など、会場の規模や利用者の導線、関係者との調整によりさまざまな方法がとられています。どのようなシステムをとる場合でも、最も重要なのは利用者にリユース食器を使用していることを告知し、回収への協力を呼びかけることです。

 

リユース食器ネットワークの参加団体の中には、リユース食器の貸し出しのほかに、リユース食器回収用のコンテナや調理器具、リユース食器利用をお知らせする掲示物や、回収を呼びかける看板やポスターなども貸し出しを行っているところもあります。利用者には必ず返却してもらうように理解と協力を呼びかけましょう。

 

リユース食器システム(デポジット利用の場合)の流れ

 

食器洗浄車

NPO法人環境り・ふれんず(札幌)の移動食器洗浄車「アラエール号」

リユース食器を洗浄しているところをイベント会場で見せたい、実際にお客さんにも参加して欲しいという方には食器洗浄車の活用がお薦めです。食器洗浄機を車に備え付けているものや、食器洗浄機を運ぶことができる運搬車などが全国各地で活躍しています。

 

実際にリユース食器を繰り返し洗浄して利用することを見せる環境教育のツールとして効果的です。

 

リユースカップと使い捨て紙コップ、環境負荷はどれくらい違う?

リユース食器を使用することで、使い捨て容器のごみが削減できることはもちろん、繰り返し使用すればするほど二酸化炭素排出量、エネルギー、水などの使用量を削減することにつながります。

 

ライフサイクルアセスメント(LCA)の結果、リユースカップの使用回数による環境負荷の低減効果は、固形廃棄物は4.7回以上、二酸化炭素排出量は2.7回以上、水消費量も2.7回以上、エネルギー消費量は6.3回以上再利用すると紙コップよりも環境負荷が低減されるという結果が出ています。

 

また、サッカー場における一試合当たりの環境負荷量の削減率をみると、紙コップをリユースカップに置き換えることで、固形廃棄物が16.6%、NOxが10.9%、SOxが16.0%、二酸化炭素(CO2)が29.2%削減できます。また、水消費量は9.0%、エネルギー消費量が15.0%削減できます

 

平成15年度リユースカップ等の実施利用に関する検討調査報告書より

 

リユースの回数に応じた環境負荷(リユースカップと使い捨て紙コップを比較)

東京大学安井研究室実施のLCA分析をもとに作成

LCA=ライフ・サイクル・アセスメント(Life Cycle Assessment)

原料採掘段階から生産・使用・輸送・廃棄段階に至るまで、製品の一生(ライフサイクル)を通じた環境への影響(消費エネルギーや資源、環境へ排出される汚染物質、廃棄物など)を定量的に分析、評価する手法。

 

リユース食器と発泡性トレーの環境負荷

ポリプロピレン(PP)製のリユース食器と発泡スチレン(PSP)製ワンウェイ容器について、環境負荷を比較しました。

一般的なイベント会場で使用したと想定し、約50回繰り返し使用するリユース食器(皿、どんぶり)とワンウェイの容器(トレー、どんぶり)を下記のように4つに分けて比較しました。

 

  1. リユース食器(皿)
  2. リユース食器(どんぶり)
  3. ワンウェイ容器(トレー・どんぶり)(分別して事業系ごみとして処理)
  4. ワンウェイ容器(トレー・どんぶり)(一般ごみとして処理)

使用1回あたりの二酸化炭素(CO2)排出量、廃棄物量、エネルギー消費量については、リユース食器の方が、PSP製容器よりも少なくなりました。一方で、水の消費量については、リユース食器を洗浄する際の水の消費量が多く、優位性は見られませんでした。

リユースカップとは異なり、油分を含むさまざまな食品を入れる容器であることから、洗浄時に使用する水の量が想定されますが、洗浄前に残菜を除去したり、浸漬などの前処理をし、洗い方を工夫しましょう。

 

二酸化炭素(CO2)排出量

廃棄物量

エネルギー消費量

水消費量

※「イベント用食器類LCI(2011年1月発行) 」より

NETWORK

リユース食器ネットワーク参加団体

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リユース食器ネットワークには、リユース食器の貸し出し、洗浄サービス、イベントのコーディネートなどを行う団体が参加しています。

リユース食器を使ってみたい方はお近くの団体にお問い合わせください。

リユース食器の継続的な導入を検討している方、取材を希望される方は事務局までお問い合わせください。

 

リユース食器ネットワークの活動は三井物産環境基金の助成金を受けています。