リユース食器に関して、多く寄せられる質問についてお答えします。
リユース食器を使用することに利用者の抵抗はありますか?
リユースカップの導入に際して、利用者に向けてアンケートをとりました。2004年11月23日に日産スタジアムで行ったアンケート調査では、リユースカップについて93%が賛成という回答結果を得ました。2008年7月8~10日に明治神宮野球場で実施したアンケート調査では、99%が使い捨てはもったいないのでリユースカップは賛成と回答があり、また野球観戦で使用してみたいという回答が98%ありました。このようにリユースカップが導入された施設では好意的な印象を持つ利用者が多いことがわかりました。
反対意見としては、衛生面の不安や返却の手間などがあげられました。利用者に向けては、きちんと洗浄・保管方法などを説明し、スムーズに返却できる仕組みで運営するなどの工夫が必要です。
リユース食器を使用するとどれくらい環境負荷を減らすことができますか?
従来の使い捨て紙コップやプラスチックカップに替えて利用した場合、ゴミの排出を抑制できます。また、こうした使い捨てのカップを使った場合に比べ、エネルギー消費量や二酸化炭素(CO2)の排出量、水の使用量などが少なくて済むため、資源の節約や地球温暖化の防止につながります。
東大の安井研究室が行ったLCA※(ライフ・サイクル・アセスメント)では、使い捨て紙コップと比較した場合、リユースカップ1回使用ごとに、例えばCO2排出量を68g(炭素換算)減らすことができます。LCAの詳細については、H15年度リユースカップの実施利用報告書 にまとめています。
※LCA=ライフ・サイクル・アセスメント(Life Cycle Assessment)
原料採掘段階から生産・使用・輸送・廃棄段階に至るまで、製品の一生(ライフサイクル)を通じた環境への影響(消費エネルギーや資源、環境へ排出される汚染物質、廃棄物など)を定量的に分析、評価する手法。
マイカップとリユースカップの違いは?
マイカップの方式は利用者が自主的に容器を購入、洗浄・保管する仕組みで、リユースカップの方式はイベント主催者や会場側が容器を用意し、回収・洗浄・保管する仕組みです。
同じリユースの仕組みですが、マイカップの方式はイベント主催者、会場側が容器の用意、洗浄・保管を行わず、利用者の自主行動によりますが、リユースカップ方式の場合は、大量に利用して業務用の食器洗浄機で一斉に洗浄するため、水や電力消費量が抑制でき、さらにイベントなどに参加する全員がリユースの仕組みに参加できるという利点もあります。
デポジットをかければ、回収率はあがるの?
デポジット(預かり金)をかけると、一般に容器の紛失やポイ捨てを防止する効果があると言われています。不特定多数の利用者が集まる大規模なイベントでは、デポジットのこうした効果が確かに期待できますが、店舗が返金対応に追われる、または別に回収所を設けなければならない、釣銭管理の手間が増えるなど、主催者の人的・金銭的負担が大きくなるのも事実です。
システムの説明や周知が徹底できるような小規模イベントについては、デポジットなしでも100%近い回収率を達成した事例もあり、「デポジット=高回収率」とは一概には言えないようです。ポイントとしては、利用者への返却の呼び掛けを徹底する、当日の運営スタッフがシステムを十分理解している、利用者が返却しやすいような回収方法をとるなどが高回収率実現の条件となっているようです。
リユース食器は繰り返し使用すれば使用するほど、より環境負荷が低減されます。使用後は必ず返却してもらうよう、周知を徹底しましょう。